硬直1000F

3日でやめます

全ての「あく」タイプにあやまれ

 
 
 
※ このきじは ぜんぶ じょうだんです。 かんたんに しんじちゃう こどものみんなは すぐに このがめんをとじて おおものゆーちゅーばーが がちゃをひいて りあくしょんとる どうがかなんかを みにいってね!  
 
 
 
 大学生の頃の私は性格がマジで終わっていた。卒論のプレッシャーとバイト先での接客のストレスをなんとかするため、ポケモンを買い、とにかく強いパーティを組んで、ネット対戦でキッズをボコボコにするという遊びに興じていた。友人のポケモン廃人にアドバイスをもらい、ただ強いだけではなく、コンセプトを設定してパーティを構成。物理攻撃の通りにくいエアームドと特殊攻撃に強いハピナスを用意し、エアームドステルスロックポケモンを交代すると一定量のダメージを受ける技)を使わせ、あとは相手のポケモンに応じて物理/特殊に強いこちらのポケモンを差し出すだけ。相手は攻撃が通らないので交代を余儀なくされるが、交代するごとにステルスロックによってじわじわとHPが削られていき最後は死に至るという、対戦していてハイパーつまらないパーティでキッズ相手に無双していた記憶がある。(たまに対処法をわかっている大人とマッチングしてだいもんじ撃ってくるガブリアス出されてなすすべなく負けたりするとめちゃくちゃつまらなかった。あいつらは絶対性格が悪い
 
 それから私はポケモンをまともにプレイしていないが、その間にもいくつかのシリーズが発売されたようだ。赤緑が大ヒットしてから、20年近く携帯ゲーム界のトップタイトルとなっているのは本当にすごい。
 
 
 
 

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 ところで、子どものときにポケモンをプレイしてから、ずっと謎に感じていることがある。それは、ポケモントレーナーとの対戦後に起こる、お金のやりとりだ。
 
 ポケモンでは、挑んでくるポケモントレーナーに勝つと、一定の賞金を得ることができる。まあだいたい勝てるので、主人公の所持金はどんどん増えていくことになる。このとき、相手によって賞金額が違うのだが、私はシナリオの進行度によって額が上がるのだと考えていた。しかし、どうやら違うらしい。

賞金 - ポケモンWiki

によると、副次的な要素を抜きにすれば、基本的には次のような計算式になっているようだ。
 

(トレーナーの種類によって設定されている値)×(相手のパーティの最後にいるポケモンのレベル)

 
 レベルはまあわかる。とはいえポケモンの世界では各トレーナーの手持ちのポケモンはだいたい同じくらいのレベルなので、実質そのトレーナーの持っているポケモンのレベルの最大値がこの数値になるのだろう。まあそこはいい。気になるのは「トレーナーの種類」だ。未成年はこの倍率が低く、金持ちや年寄りは高く設定されている。要するにこれ、その人の「所得」によって賞金倍率が変わるということになりそうだ。すごい。もはや税。日本の現行の法律では所得税は累進税率なのだが、この制度はそれに近い、比例税率ということになろうか。マネーマッチの世界ではこの感覚は斬新だ。トレーナーたちは納得いっているのか?私は格闘ゲームをプレイしているが、「あなたは年収〇〇〇万だから1クレ300円ね」とか言われたらぶちぎれて「アラ、ちょ~っとおイタが過ぎるわねぇ・・・」的なことを言いながら店はおろか街ごと破壊する魔人と化すだろう。ノリで書いたがなんでオカマキャラなんだ。
 
 まあただそこは目をつぶって賞金全体でみると、現行のシステムでは、主人公も含め「レベルの高いポケモンを使っている人は負けたらそのぶん多めに払ってね」というイメージの制度だと考えていいだろう。 ポケモンの世界では日々、市場経済とは別に、トレーナーたちの間でこのような賞金のやりとりが行われている。
 
 
 
 もうひとつ触れておきたいことがある。それは、現実世界と同様、ポケモン界にも一定数存在する「悪」の存在だ。
 
 ポケモンの世界には、ロケット団をはじめとする、各シリーズごとの悪の組織(これ言っちゃえば暴力団ですよね?)の構成員に加え、「ぼうそうぞく」「ふりょうカップル」「かじばどろぼう」「ゴロツキ」など、「悪いことしてそう」なトレーナーたちが一定数存在する。たぶん裏で一番悪いことしてるのは実はジェントルマンとかだが、まあそこは置いておく。彼らはポケモンを用いる用いないにかかわらず、犯罪行為に手を染めていると解釈してもいいだろう。少なくとも火事場泥棒に関してはゴリッゴリの犯罪なのでまあいいはずだ。
 
 犯罪は自身の欲望を満たすために行われるが、社会においてはその目的は金であることが多い。彼らは窃盗・詐欺・恐喝・横領を通じて、不正に金品を得る。そのようにして得た金は、いわゆる「汚れた状態」の金であり、捜査の手が入れば犯罪行為として摘発されてしまう。こんなときに行われるのが、マネーロンダリングだ。
 
 マネーロンダリングとは、「資金洗浄」のことを指す。つまり、不正に手に入れた金を一旦市場に流してからもう一度回収し、出所をわからなくすることで、正当な手段で得たものだと見せかけることである。銀行口座を使ったり、一度海外通貨を経由したり、その方法はいろいろある。ちょっと前にメルカリで20000円分チャージしたSuicaが25000円で売られていたりして、「誰が買うんだよこれ」みたいな話題もあったが、マネーロンダリングを目的とした買い手となら需要/供給が一致する。たとえばあなたが誰かのクレジットカードを盗んだとしたら、このSuicaを買いたいと思うはずだ(メルカリはクレカで決済ができる)。
 
 では先に挙げた悪のポケモントレーナーたちは、どうやってマネーロンダリングをしているのか。それは紛れもなく、「賞金」なのではないか?やってくるトレーナー達に対して、勝ったり負けたりを繰り返しながら、自身の「汚れ」た金を洗浄してゆく。べつに勝ち越さなくても、多種多様な相手と戦ったうえで勝率が5割程度であれば、もともと持っていた額は回収できるため問題はない。主人公相手だと野良トレーナーが勝つことはほとんどないと思うが、まあそこは野良トレーナー同士も対戦しているだろうし、サイクルとしては成立すると思われる。なんならもっと勝率は低くても大丈夫だ。自分が勝てないやつには(汚れた) 金を奪ってもらって、自分が勝てるやつから金を巻き上げればいいのだから。とにかく対戦を数こなして、賞金のやりとりを行い、不正に手に入れた金の出所をわからなくすればいい
 
 とすれば、このようなトレーナーたちは、主人公に対して「負けにきて」いるとも言えないだろうか?強さに底がない主人公相手には、無理をして勝つ必要がない。それならいっそのことわざと負けて、「汚れた金」を持って行ってもらったほうがいい。強調するが、回収は弱いやつからすればいいのだ。
 
 そうして改めて考えてみると、確かにトレーナーたちの中には、「勝つ気ないだろ」みたいなやつもいた。6体のポケモンを持てる枠があるのに1体しか持っていないやつや、なぜかコイキングのみでパーティが構成されているやつ。わざと負けるにしてももうちょっとあるだろ。皇居のお堀でも泳いできたんか。
 
 
 
 この推論は、あるアンチテーゼを導き出す。前述のように悪のトレーナーたちは、ある意味で主人公に対して「負けにきて」いる。しかし・・・ポケモン1体のみで挑んできたり、無茶なパーティ構成で主人公に突撃してくるのは、決して前述の「悪のトレーナー」だけではなかったように感じられる。そういった輩は、むしとりしょうねんにも、けんきゅういんにも、エリートトレーナーにすらいた。さらに極論だが、6体の枠があるのに5体以下で挑んでくるのは、必勝を目指しているようには思えない。どんなに弱いポケモンでも、基本的に入れない意味はないからだ (ゲームとしてのテンポが悪くなるみたいなメタな話はやめてください。したら殺します)。その意味で、ポケモン世界のトレーナーはそのほとんどがあえて 「負けにきて」いる
 
 恐ろしいことになった。「負けにきて」いるトレーナーが犯罪行為に手を染め、得た裏金のマネーロンダリングを目的としているならば、ポケモンの世界のトレーナーはほとんどが犯罪行為を行っていることになる。そう、あんなに平和に見えるポケモンの世界が、実は悪のはびこる大犯罪社会だったのだ。
 
 どうりでおかしいと思っていた。道端に落ちている換金アイテム(きんのたまとか)を拾ったら普通は交番に届けるし、落ちていたからといって他人の敷地内に落ちているアイテム(街らへんに落ちてたキズぐすりとか)を勝手に持って行っていいわけではないはずだ。こんなことがまかりとおるのは、あの世界が無法地帯だからだ。金にまつわることならどんなに悪いことをしても、全ては「賞金」を隠れ蓑にして逃げ切ることができる、とんでもない世界。こんな世界に住む犯罪者風情が、よく大手を振って「あく」タイプとか作れたもんだ。だいたいあくタイプって何なんだ。だいもんじ撃ってくるガブリアスのがよっぽど最悪なんだが。
 
 かなり荒唐無稽な話になってしまった。今後はポケモンの世界を見る目が少し変わるかもしれないが、一方で、やはり興味深くもある。他のゲームが一段落したら、久しぶりにやってみてもいいかもしれない。ルール無用の薄汚れた世界に、少し、身を投じてみたくなった。
 
 
 
 
 
・・・あれ?いや待てよ。確かトレーナーの所持するポケモンにボールを投げると・・・
 
 
 

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いやいやいやいや。
 
倫理観どうなってんだ